ワインを作るにあたって、良質な葡萄の栽培が基本となりますが、

高品質な葡萄の礎となっているのが、グラニットベルトの名前の由来となっている、

花崗岩(Granite)土壌です。

GraniteBeltの土地は、オーストラリア・クイーンズランド州のダーリング ダウンズ地域と、

ニューサウスウェールズ州のニュー イングランド地域にある

「グレート ディバイディング レンジ」の一地域です。

その中でも南端に位置する花崗岩帯の冷涼な高地で、ニューイングランド高原の最北端に位置する産地となります。

この地域は、クイーンズランド州南東部の大部分を構成する他の地域と区別される花崗岩が優勢な土壌であることから、Granite Belt(花崗岩地帯)という名前が付けられました。

グラニットベルトへの道中にそびえるグレートディバイディング山脈

これらの豊かな土壌は、オーストラリア開拓時代より何十年にもわたってリンゴ、モモ、食用ブドウの果樹園として栽培され、人々の暮らしを支えてきました。

ワイン用ブドウは、戦後のイタリア移民が故郷と気候の類似性を認識した 1960 年代から引き継がれ始めました。

この土地を形成する花崗岩は、

元々2億4000万年前(三畳紀)に上昇して周囲の古い岩石に押し込まれたマグマの溶融塊でした。

マグマが上昇するにつれて、周囲の岩を溶かし、それらの破片をマグマの塊に同化。

この時混ざり合った鉱物で形成されたのが、今、私達の畑の土となっている花崗岩です。

 2 億年以上前の大規模な花崗岩貫入のこの土地は、二畳紀の堆積岩の上にある標高 600 ~ 1500 メートル (1,968 ~ 4,921 フィート) の丘と平野の階段状の台地として形成されています。

標高の高さからくる朝晩の寒暖の差異も良質な葡萄が栽培される理由の一つとなっています。

そして、土壌の酸性度はpH 4 ~ 6.5 で、非常に酸性です。

この酸性値は特定の植物を育てるのに最適との科学的根拠もあり、リンゴ、ブドウ、ツバキ、ツツジ、バラはすべて酸性土壌を好むため、この地域での葡萄栽培は大変適した土地と言えます。

シラーズ種の植えられている畑の花崗岩(畑によって岩の色もサイズも異なる)
こちらはシャルドネ種畑からの花崗岩

そしてこの地域にはGranite(花崗岩土壌)と,Traprock(トラップ岩土壌)と呼ばれる2 つの広範な土壌タイプに分かれます。

花崗岩の土壌は、花崗岩の岩石が分解されたものです。

この土壌は、地形によって異なり、

高地の丘陵地帯では、土壌は一般に非常に粗く、水はけがよく、不毛(主に砂)ですが、谷や低地の土壌は、粘土と多量の有機物を含むローム質です。

葡萄や果実が栽培されている地域はこの花崗岩土壌となります。

畑を形成する土壌

グラニットベルト花崗岩の5つの主要な鉱物は以下となります。

①カリウム長石(50%)

②クオーツ(30%)

③斜長石(10%)

④黒雲母(7%)

⑤普通角閃石(3%)

花崗岩の詳細

一方トラップ岩(玄武岩または輝石)は、ギラウィーン国立公園内に、葡萄畑を見下ろす岩の山として聳え立っています。

この岩の性質は非常に硬い岩で植物の直接的な栽培は困難ですので、

主な用途は、コンクリート、マカダム、および敷石の道路および住宅建設用の砕石です。

又、乾燥相対密度が高く、耐霜性があり、耐海水性があるため、鉄道道床のバラストや、堤防保護にも使用される事もあります。

トラップ岩でできた岩山

こうして様々な岩の種類を見ているだけでも楽しく、

新しい発見が豊富に湧き上がってくるのが

このグラニットベルトに来る楽しみの一つでもあります。

最後に、今回は良質な葡萄栽培の礎となるグラニットベルトの花崗岩土壌について書いてみましたが、

この土地に古来より住み、守り続けてきたのは、オーストラリアの先住民・アボリジニの方々です。

昔からこの花崗岩の貴重な土地を先住民の方々は聖地として崇めてきました。

ワインオーストラリアの公式ページの最後にこのような言葉が書かれています。

「私たちは、陸、水、空の国のアボリジニとトレス海峡島民の伝統的な守護者に感謝します。私たちは、過去、現在、そしてこれから現れる長老たちに深い敬意を払います。」

私たちが今美味しいワインを飲むことができるのも元々は遠い遠い先祖の方々が大切に綺麗に守り抜いてきた土地があってのこと。

先住民の方々の聖地・ギラウィーン国立公園にそびえ立つ山々

これからは私たちもこの神聖なるこの土地と、

この希少な土地から作られる作物を「ワイン」という形で、

正確に、大切に、理解ある方々に伝えていきたいと思います。

長い歳月をかけて、奇跡的に出来上がった岩が、奇跡的なワインを作り出す、奇跡の物語。

2億年という歳月を想像しながら、奇跡の味わいを堪能されてみてください!

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