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はじめまして。
私の名前は佐藤 泰士(さとうたいし)といいます。

私は2001年に日本を離れ、それ以来長きに渡りここオーストラリアに住んでいます。

その後ご縁あって2006年にオーストラリアの主産業の一つであるワインという業界に身を置き、これまで多くの方に支えら今日に至っています。

当初私は貿易の仕組みや、他国に対する商品の流通の仕組み、そしてそれぞれの国々にたいするマーケティング戦略を自分自身で確かめ実戦できるという理由でクイーンズランド州で最大規模の生産を誇るワイナリーに就職しました。

そちらで15年に渡り輸出部、事業開発部などを統括させてもらう機会をいただき、外国人として現地企業の中枢に身を置き多くの学びの時間を得る事が出来ました。

その歳月の間にはリーマンショックや東日本大震災、そして直近のコロナパンデミックなど、経済を大きく揺るがす事態に直面し、商品を流通するという立場で雇われている身としては精神が擦り切れる様な思いもしました。

何よりも、ワインという一見華やかな商品を生み出す裏側には、人間がコントロールする事の出来ない「天候」と常に隣り合わせで歩調を合わせながら懸命に葡萄栽培を行なっている人間、そしてその大地からの恵みを余す事なくワインというかたちに変える人間、そして出来上がったワインを大切にボトルに詰めてラベルを貼り製品作りの最終工程を担う人間がいてはじめて成り立つという事なのです。

そして私の役目は製品作りに携わった皆の思いや努力を汲み取って顧客に伝え、確実な状態で海を越えてお客様に届けるという重要な役割を担ってきました。

時に世の中の風潮や流行り、何よりも価格の面で自分の製品が全く見向きもされない時期もありました。
そんな時は決まって、消費者が求める商品作りを行う他社を妬んだりもし、求められるものを生み出せない自分が身を置く環境を恨んだりもしました。

ただそんな時、決まって自分をステップアップさせてくれたのは常にお客様達であり、お客様達からはいかに私達が今持っているものが尊いものなのか、そしてそれらの商品が未だ知られていない存在なのであれば、いかにしてその価値を伝えるかという事を学ばせてもらいました。

それから私はセールスマーケティングという本業に身を置きながら、ワイン作りの現場に進んで身を置く事にしました。
そうする事で、これまでただの製品としか見れなかったワインが、苦悩や喜びを味わいながら作る事によって出来上がったものに対して自分の分身の様にも感じられ誇りを持つ様になりました。

この素晴らしい製品づくりに欠かせないのは勿論携わる人間である事は間違いありません。

しかし、世界中2つとして存在しないこの葡萄畑を取り囲む環境こそが与えられた尊いものであり、その産地の素晴らしさを知ってもらってこそ、その地に根付いてワイン作りに励む人々やワイナリーにより強くスポットライトが当てられるのではと思いました。

私達の産地の名前は「グラニットベルト」といい、150年のワイン作りの歴史がありながら、オーストラリア国内でもあまり知られていません。
その背景には、「とことん自分達のワインを愛するお客様だけに飲んでもらえればそれでいい」といった、昔ながらの頑固な生産者達が根を張り、ひたすらワイン作りと向き合ってきた結果閉鎖的な地域となってしまいました。

私はこの産地グラニットベルトの生産者達のカラーを最大限尊重しつつ、この素晴らしさを世界で最も感度の高い日本人に対して知って欲しいと思うようになりました。

今までオーストラリア国内で見向きもされず、知られようともしなかったワイン産地に、世界で最も感度の高い質の高いお客様を送客し、製品の本質を理解して購入してもらう。

生産者の端くれではありますが、自分が手塩にかけて育て上げたワインが求められて購入してもらう事こそが最大の喜びであり、そういう機会を作り上げる事こそが20年前見ず知らずの外国人である私を受け入れてくれたこの産地に対する恩返しになると信じ、このGranizoという事業体で独立する決心をしました。

コロナパンデミックの直後で世界経済が完全に戻っていない状態から、先行きが見えづらく不安になる時もありますが、これからグラニットベルトに多くのワイン愛好家が来てもらえるという明るい未来を想像し前に進んでいきたいと思います。

今後ともどうぞよろしくお願いします。

佐藤 泰士

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